Claude MCP とは|NotionやSlackとAIを繋ぐ拡張機能を非エンジニア向けに解説
冒頭
従業員20人のマーケティング会社を経営しているとする。チームの情報はNotionに、やり取りはSlackに、数字はGoogleスプレッドシートに散らばっている。毎朝、3つのツールを行ったり来たりして情報を集め、報告資料を手作業でまとめている。この「行ったり来たり」だけで、1日30分以上が消えていないだろうか。
Claude にはMCPという仕組みがある。これを使うと、Claude が直接Notionのページを読んだり、Slackのメッセージを検索したり、スプレッドシートのデータを引っ張ってきたりできるようになる。あなたは Claude に「先週のSlackで決まったことをNotionにまとめて」と指示するだけでいい。
この記事で分かること:
- MCPとは何か(技術用語なしで理解できる)
- あなたの業務ツールとClaudeをどう繋ぐのか
- 繋いだら具体的に何ができるようになるのか
- セキュリティや情報漏洩の心配にどう対処するか
記事の最後に、業務ツール別のMCP接続チェックリストPDFを無料でダウンロードできる。
MCPとは何か、何ができるか
MCPは「Model Context Protocol(モデル・コンテキスト・プロトコル)」の略だが、名前を覚える必要はない。ひとことで言えば、Claudeに外部ツールを繋ぐための標準化された接続規格だ。
もっと身近な例で説明する。あなたのスマートフォンにはUSB-Cケーブルの差し込み口がある。このケーブル1本で、充電器にも、モニターにも、外付けハードディスクにも繋がる。メーカーが違っても、USB-Cの形さえ合えば使える。
MCPはこのUSB-Cケーブルの「AI版」だ。形が決まっているから、Notion用のMCP、Slack用のMCP、Gmail用のMCPを差し込むだけで、Claudeがそれぞれのツールと会話できるようになる。
MCPがない場合とある場合の違い
MCPを使わずにClaudeで仕事をする場合、こんな手順になる。
- Notionを開いて、必要な情報をコピーする
- Claudeの画面に貼り付ける
- Claudeに指示を出す
- 返ってきた結果をコピーする
- Notionに貼り付ける
この「コピーして貼って」を、ツールの数だけ繰り返す。3つのツールを使っていれば、3回分のコピー&ペーストが毎回発生する。
MCPで繋いだ場合はこうなる。
- Claudeに「Notionの今月の議事録をまとめて、Slackの#営業チャンネルに投稿して」と指示する
- Claudeが自分でNotionを読み、まとめを作り、Slackに投稿する
コピー&ペーストがゼロになる。あなたの仕事は「指示を出すこと」と「結果を確認すること」だけだ。
繋げるツールの例
2026年4月時点で、MCPに対応しているツールは100種類以上ある。非エンジニアの業務でよく使うものを挙げる。
情報管理: Notion、Google Drive、Obsidian コミュニケーション: Slack、Gmail、Microsoft Teams 表計算・データ: Googleスプレッドシート、Airtable プロジェクト管理: Trello、Linear、Asana ファイル共有: Dropbox、Box カレンダー: Googleカレンダー
これらのすべてを一度に繋ぐ必要はない。まず1つ、あなたが最もよく使うツールから始めるのが現実的だ。
あなたの仕事にどう使えるか

図: 業種別・MCPで変わる業務フロー
中小企業の経営者・管理職の場合
従業員10〜100名の会社で、経営や管理の仕事をしている方。MCPが特に効くのは「情報の横断検索」だ。
多くの中小企業では、情報が複数のツールに散らばっている。顧客情報はスプレッドシート、やり取りの履歴はSlack、企画書はNotion、契約書はGoogle Drive。何かを判断するたびに、これらを1つずつ開いて探す作業が発生する。
MCPでNotionとSlackとGoogle Driveを繋いだ状態なら、Claudeにこう指示するだけでいい。
(コピーして使えるプロンプト例)
先週の#営業チャンネルで「A社」について話された内容を探して、Notionの「A社」ページに追記して。追記する内容は、日付・発言者・要点の3列の表にまとめて。
ClaudeがSlackを検索し、該当するメッセージを見つけ、内容を整理してNotionに書き込む。あなたが手でやれば15分かかる作業が、確認込みで3分で終わる。
個人事業主・フリーランスの場合
フリーランスのデザイナー、ライター、マーケター、士業の方。1人で複数のクライアントを抱えていると、メールの返信、タスク管理、請求処理がすべて自分に集中する。
GmailとGoogleカレンダーをMCPで繋ぐと、こんなことができる。
(コピーして使えるプロンプト例)
今週届いたメールの中から、返信が必要なものをリストアップして。件名、差出人、受信日、緊急度(高・中・低)を表にまとめて。今週のカレンダーも確認して、対応する時間がある曜日も提案して。
メールを1通ずつ開いて優先度を判断する作業は、朝の30分を奪う。MCPがあれば、Claudeがメールの中身を読み、カレンダーの空きも確認した上で、対応プランを提案してくれる。
バックオフィス担当者の場合
経理、人事、総務、マーケティング部門の担当者。定型的なレポート作成でMCPの効果が大きい。
経理担当なら、Googleスプレッドシートに入っている売上データとNotionの取引先情報をMCPで繋ぐと、月次レポートの下書きを自動で作れる。
(コピーして使えるプロンプト例)
「2026年3月売上」シートのデータを読んで、取引先別の売上集計を作って。前月比も計算して。上位5社については、Notionの取引先ページから直近の商談メモも引用して、コメントを添えて。
人事担当なら、採用管理のスプレッドシートとGmailを繋いで「今週応募があった候補者の一覧と、返信済み/未返信のステータス」を一発で出せる。
MCPの始め方(ステップバイステップ)

図: MCPを始める4ステップ
MCPを使うには、Claude のデスクトップアプリまたは Claude Code が必要だ。ブラウザ版の Claude Cowork(claude.ai)だけでは、現時点ではMCPは使えない。
ステップ1: Claude のアプリを用意する
Claude のデスクトップアプリ(Mac / Windows 対応)をインストールする。すでにインストール済みなら、このステップは飛ばしてOK。
Claude Code を使っている方は、そちらでもMCPは利用できる。Claude Code のセットアップ方法は「Claude Code とは|非エンジニアが知っておきたい全体像と始め方」(/articles/543)で詳しく解説している。
ステップ2: 繋ぎたいツールを1つ選ぶ
最初から全部繋ごうとしない。まず1つだけ選ぶ。選び方の基準はこうだ。
「毎日開いていて、Claudeにデータを渡すためにコピー&ペーストしているツールはどれか」
その答えが、最初に繋ぐべきツールだ。多くの場合、以下のどれかになる。
- Notion(社内の情報がここに集まっている場合)
- Googleスプレッドシート(売上データや顧客リストがある場合)
- Gmail(メールの要約や返信を頼みたい場合)
- Slack(チームのやり取りを検索したい場合)
ステップ3: 接続設定を追加する
ここが「少しだけ技術的な作業」が必要な部分だ。ただし、やることは「設定ファイルにツールの情報を数行追加する」だけだ。プログラミングではない。
Claude デスクトップアプリの場合、設定ファイルを開いて、繋ぎたいツールの情報を追加する。
少しだけコードのような記述が出てくるが、そのままコピーすれば動く。意味は分からなくてOKだ。
例えば、Notionを繋ぐ場合はこのような記述を追加する。
"notion": {
"command": "npx",
"args": ["-y", "@notionhq/notion-mcp-server"],
"env": {
"OPENAPI_MCP_HEADERS": "Authorization: Bearer あなたのNotionトークン"
}
}
「あなたのNotionトークン」の部分だけ、自分のNotionアカウントから取得したトークン(認証キーのようなもの)に置き換える。トークンの取得方法は、Notionの設定画面から「インテグレーション」を作成するだけだ。
この設定作業が不安な場合は、Claude Code に「NotionのMCPを設定して」と頼む方法もある。Claude Code 自身が設定ファイルを書き換えてくれるので、あなたはNotionのトークンを伝えるだけでいい。
ステップ4: 再起動して使い始める
Claude のアプリを一度閉じて、再度開く。これでMCPが有効になる。
あとは普通に日本語で話しかけるだけだ。
「Notionの『今月のタスク』ページを読んで、完了していないタスクの一覧を教えて」
ClaudeがNotionに接続し、ページの内容を取得し、未完了タスクだけを抽出して返してくれる。
MCPを使った業務自動化の具体例
ここからは、すでにMCPを設定した後に、日常業務でどう活用できるかを具体的に見ていく。
例1: 朝の情報収集を5分で終わらせる
繋ぐツール: Slack + Notion + Googleカレンダー
(コピーして使えるプロンプト例)
今日の業務ブリーフィングを作って。
- Slackの主要チャンネル(#全体、#営業、#開発)で昨日の17時以降に投稿されたメッセージの要約
- Notionの「今週のタスク」ページから、今日が期限のタスク
- 今日のカレンダーの予定一覧
この3つを1つのレポートにまとめて。
これまで3つのアプリを順番に開いて情報を拾っていた作業が、1回の指示で完了する。毎朝このプロンプトを使い回せば、情報収集の時間は30分から5分に短縮できる。
例2: 会議の議事録をNotionに自動整形
繋ぐツール: Notion
会議中にメモアプリに箇条書きしたメモを、Claudeに渡す。
(コピーして使えるプロンプト例)
以下の会議メモを読んで、Notionの「議事録」データベースに新しいページを作って。
フォーマット:
- 日付: 2026年4月16日
- 参加者: (メモから抽出)
- 決定事項: (箇条書き)
- アクションアイテム: (担当者 / 内容 / 期限の表形式)
- 次回の議題: (あれば)
会議メモ: (ここにメモを貼る)
Claude がメモの内容を解析し、Notionのデータベースに整形された議事録ページを作成する。会議後20分かかっていた清書作業が、確認込みで5分になる。
例3: 週次レポートの下書きを自動生成
繋ぐツール: Googleスプレッドシート + Slack
(コピーして使えるプロンプト例)
今週の週次レポートの下書きを作って。
データ元:
- 「週次KPI」スプレッドシートの最新行
- Slackの#営業チャンネルで今週共有された受注報告
フォーマット:
- 数字サマリー(売上、商談数、受注数を先週比で)
- 今週のハイライト(受注報告から3件ピックアップ)
- 来週の重点施策(KPIの推移から課題を1つ提案)
毎週金曜日の午後に1時間かけていたレポート作成が、15分の確認・修正で済むようになる。
まとめ
MCPは、ClaudeにNotionやSlack、Gmail、スプレッドシートなどの業務ツールを繋ぐ拡張機能だ。繋ぐことで、ツール間のコピー&ペーストがなくなり、Claudeが直接あなたの業務データにアクセスして仕事を片付けてくれるようになる。設定はコピー&ペーストレベルの作業で完了し、まず1つのツールから始めるのが現実的だ。セキュリティが気になる方は、読み取り専用から始めれば安心だ。
特典
業務ツール別のMCP接続チェックリストPDFを用意した。Notion、Slack、Gmail、Googleスプレッドシート、Googleカレンダーの5ツールについて、トークンの取得手順・設定ファイルの記述例・最初に試すプロンプト3選をツールごとにまとめている。印刷してデスクに置きながら設定を進められる。
→ MCP接続チェックリストPDF をダウンロードする(無料) /resources
参考リファレンス
- Anthropic MCP 公式ドキュメント: modelcontextprotocol.io
- Claude Works 関連記事:「Claude Code とは|非エンジニアが知っておきたい全体像と始め方」(/articles/543)




