Claude で EC のカスタマー対応を効率化する|個人ショップが問い合わせ対応の時間を半分にする方法

冒頭

BASEでアクセサリーを販売している個人事業主の方を想像してほしい。月商50万円、月の注文数は約150件。お客様からの問い合わせは1日平均8〜12件。内容は「届いた商品のサイズが思っていたのと違う」「ギフトラッピングは対応しているか」「発送はいつになるか」「色味が写真と違う気がする」など、似たような質問が多い。

1件あたりの返信に10〜20分。丁寧に書こうとすると30分かかることもある。1日2〜3時間をカスタマー対応に費やしている計算だ。その間、新商品の制作や写真撮影、SNS投稿は後回しになる。対応が遅れるとレビュー評価に響く。かといって雑な返信はショップの信頼を損なう。

この記事では、Claude Cowork(クロード・コワーク: ブラウザで使えるAIアシスタント)を使って、ECサイトのカスタマー対応を効率化する方法を解説する。minne、BASE、Shopify、メルカリShops、Creemaなど、どのプラットフォームでも使える。

記事の最後に、ECカスタマー対応用のプロンプト集をダウンロードできるリンクを用意している。

カスタマー対応で何に時間がかかっているのか

ECカスタマー対応の5大パターンとClaude の活用度

図: ECカスタマー対応の5大パターンとClaude の活用度

ECサイトの問い合わせを分類すると、大きく5つのパターンに分かれる。

1つ目。商品に関する質問。「このピアスは金属アレルギーでも使えますか」「Mサイズは身長何cmくらいの方向けですか」「洗濯機で洗えますか」。全体の約35%を占める。回答は商品情報をもとに作れるので、Claude が得意な領域だ。

2つ目。配送・発送に関する問い合わせ。「いつ届きますか」「追跡番号を教えてください」「届け先を変更したい」。全体の約25%。テンプレートで対応しやすいパターンだ。

3つ目。返品・交換の対応。「サイズが合わなかったので交換したい」「届いた商品に傷があった」。全体の約20%。ショップの返品ポリシーに沿った案内が必要で、Claude にポリシーを伝えておけば一貫性のある返信を作れる。

4つ目。クレーム・トラブル対応。「注文と違う商品が届いた」「代金を支払ったのに商品が届かない」。全体の約10%。感情的なメッセージへの対応が求められる。Claude に下書きを作ってもらい、最終的なトーンの調整は自分で行うのが安全だ。

5つ目。ギフト・カスタムオーダーの相談。「母の日のプレゼントにしたいのですが」「名入れはできますか」。全体の約10%。個別対応が必要だが、基本の返信パターンはClaude に用意してもらえる。

この5パターンのうち、1つ目と2つ目(合計60%)はClaude でほぼ自動化できる。3つ目と5つ目(合計30%)はClaude に下書きを作ってもらい、確認・修正して送る。4つ目(10%)はClaude の下書きを参考にしつつ、最終判断は自分で行う。

あなたのショップではどう使えるか

プラットフォーム別・Claude 活用のポイント

図: プラットフォーム別・Claude 活用のポイント

ハンドメイド系ショップの場合

minneやCreemaで作品を販売している方は、お客様とのやり取りがショップの「顔」になる。機械的な返信は作家としての魅力を損なう。Claude を使う際のコツは、自分の文体や大切にしているトーンを最初に伝えておくことだ。

例えば「私はいつもお客様に対して、作品への思いが伝わる温かい文体で返信しています。フランクすぎず、堅すぎない。友人の手紙のような雰囲気で」と前置きすると、Claude はそのトーンに合わせた返信を作ってくれる。

物販系ショップの場合

BASEやShopifyで既製品やオリジナル商品を販売している方は、商品数が多くなるほど問い合わせも増える。100商品を扱っていれば、それぞれのサイズ、素材、使い方、注意事項を把握するだけでも大変だ。

Claude に商品情報をまとめた一覧(商品カルテ)を渡しておけば、どの商品について聞かれても正確な回答を作れる。

メルカリShopsの場合

メルカリShopsでは、やり取りがシンプルな短文で行われることが多い。Claude に「メルカリShopsでのやり取り用。返信は3〜5行で簡潔に。絵文字は使わない。敬語だが堅くなりすぎない」と指示すると、プラットフォームの雰囲気に合った返信になる。

実際の使い方: ステップバイステップ

Claude でカスタマー対応を効率化する5ステップ

図: Claude でカスタマー対応を効率化する5ステップ

ステップ1: ショップの基本情報をClaude に伝える

最初に一度だけ、ショップの基本情報をClaude に伝える。この情報があると、以降の返信すべてに一貫性が生まれる。


ショップ情報の設定
あなたは私のECショップのカスタマー対応アシスタントです。以下のショップ情報をもとに、お客様への返信文を作成してください。

ショップ情報:

  • ショップ名: (あなたのショップ名)
  • プラットフォーム: (BASE / minne / Shopify / メルカリShops など)
  • 取扱商品: (例: ハンドメイドアクセサリー、アパレル、食品など)
  • 発送方法: (例: クリックポスト、ゆうパック、ヤマト宅急便)
  • 通常の発送日数: (例: 注文から3営業日以内に発送)
  • 送料: (例: 全国一律300円、5,000円以上で送料無料)
  • 返品ポリシー: (例: 到着後7日以内、未使用・未開封に限り返品可。お客様都合の場合は送料お客様負担)
  • 交換ポリシー: (例: サイズ交換は1回まで無料。在庫がない場合は返金対応)
  • ギフト対応: (例: ラッピング対応可。+200円。メッセージカード無料)
  • 営業日: (例: 月〜金、土日祝は発送業務休み)
  • 返信のトーン: (例: 丁寧だが温かみがある。お客様を「○○様」と呼ぶ。感謝の気持ちを伝える)

返信のルール:

  • 1通あたり150〜300文字で簡潔に
  • 冒頭でお問い合わせへのお礼を述べる
  • 結びに「他にご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください」を入れる
  • 署名は不要(プラットフォームの仕組みで表示されるため)

このプロンプトを最初に送っておくと、Claude はショップの情報を踏まえた返信を作ってくれるようになる。Claude Cowork の場合、同じ会話の中であれば情報を覚えているので、1日のうちに何件かまとめて依頼する場合は最初に1回伝えるだけでいい。

ステップ2: 商品カルテを準備する

問い合わせが多い主要商品について、よく聞かれる情報をまとめた「商品カルテ」を作っておくと便利だ。全商品分を用意する必要はない。問い合わせが多い上位10〜20商品で十分だ。


(商品カルテの例)

商品カルテ:

商品1: 天然石のドロップピアス

  • 素材: 14KGF、ラブラドライト
  • サイズ: 全長約4cm
  • 重さ: 片耳約2g
  • 金属アレルギー: 14KGFは出にくいが、すべての方に保証はできない
  • お手入れ: 柔らかい布で拭く。水濡れ注意。保管は個別にジッパー袋に入れる
  • 注意: 天然石のため色味に個体差あり

商品2: リネンのワイドパンツ

  • 素材: リネン100%
  • サイズ展開: S(ウエスト64-70cm)、M(68-74cm)、L(72-78cm)
  • 洗濯: 手洗い推奨。洗濯機の場合はネットに入れてデリケートコースで
  • 注意: 初回洗濯で5%程度縮む可能性あり (以下続く)

このカルテをClaude に渡しておけば、「このピアスは金属アレルギーでも使えますか」という質問に対して、商品情報に基づいた正確な返信を作ってくれる。

ステップ3: 問い合わせ内容を貼り付けて返信を依頼する

ここからが日常のワークフローだ。お客様からの問い合わせが来たら、その内容をClaude にコピー&ペーストして返信の下書きを依頼する。


(プロンプト例: 商品に関する質問への返信)

以下のお客様からの問い合わせに対する返信を作成してください。

お客様のメッセージ: 「天然石のドロップピアスを購入検討中です。金属アレルギーがあるのですが、この商品は大丈夫でしょうか?また、石の色味は写真と同じですか?」


Claude はショップ情報と商品カルテをもとに、次のような返信を作成する。


(Claude の出力イメージ)

お問い合わせいただきありがとうございます。

天然石のドロップピアスについてご案内いたします。

金具には14KGF(ゴールドフィルド)を使用しております。一般的なメッキと比べて金の層が厚く、金属アレルギーが出にくい素材ではありますが、すべての方にアレルギー反応が出ないことを保証するものではございません。ご心配な場合は、事前に皮膚科でパッチテストを受けていただくことをおすすめいたします。

石の色味につきましては、天然石のため1つひとつ色合いや光の入り方が異なります。写真と完全に同じものをお届けすることは難しいのですが、光り方が美しいものを選んでお送りしております。

他にご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。


この返信を確認し、問題がなければそのまま送信する。気になる箇所があれば修正する。1件あたり1〜2分で返信が完成する。

パターン別のプロンプト例

5大パターンそれぞれのプロンプト例を紹介する。


(プロンプト例: 配送に関する問い合わせ)

以下のお客様からの問い合わせに対する返信を作成してください。

お客様のメッセージ: 「3日前に注文したのですが、まだ発送されていないようです。いつ届きますか?」

補足情報:

  • 注文日: 4月13日(日曜日)
  • 本日: 4月16日(水曜日)
  • 日曜日は発送業務休み。月曜日に発送済み。追跡番号: 1234-5678-9012


(プロンプト例: 返品・交換の対応)

以下のお客様からの問い合わせに対する返信を作成してください。

お客様のメッセージ: 「先日届いたワイドパンツのMサイズを購入したのですが、少し大きかったです。Sサイズに交換していただくことは可能でしょうか?」

補足情報:

  • Sサイズの在庫: あり
  • 交換ポリシー: サイズ交換は1回まで無料(返送料はショップ負担)


(プロンプト例: クレーム対応)

以下のお客様からの問い合わせに対する返信を作成してください。お客様はご不満を感じている可能性があるので、まず共感と謝罪から入り、解決策を提示してください。

お客様のメッセージ: 「届いたピアスの片方に小さな傷がありました。楽しみにしていたのでとても残念です。」

補足情報:

  • 不良品の場合: 送料ショップ負担で交換。在庫がない場合は全額返金
  • 同商品の在庫: あり


(プロンプト例: ギフト対応の相談)

以下のお客様からの問い合わせに対する返信を作成してください。

お客様のメッセージ: 「母の日のプレゼントとして購入を考えています。ラッピングと、メッセージカードをつけることは可能ですか?また、母の耳たぶが薄めなのですが、このピアスは重くないでしょうか?」


クレーム対応だけは注意が必要だ。Claude が作った下書きをそのまま送るのではなく、お客様の感情に寄り添えているか、解決策が適切か、自分の目で必ず確認する。特に金銭が絡む場合(返金・割引など)は、自分で判断してから送信する。

ステップ4: 返信を確認して送信する

Claude の下書きを確認する際のチェックポイントは3つだ。

  1. 事実が正しいか。商品の仕様、発送日数、ポリシーの内容がショップの実態と合っているか。特にClaude に商品カルテを渡していない商品については、誤った情報が含まれる可能性がある。

  2. トーンが自分のショップに合っているか。堅すぎないか、フランクすぎないか。自分が普段使っている言い回しと違和感がないか。

  3. 約束していいことだけを約束しているか。「必ず○日までにお届けします」のような断定表現がないか。Claude は親切心から踏み込んだ約束をすることがある。「○日頃のお届けを予定しております」のように修正する。

ステップ5: FAQを作って問い合わせ自体を減らす

日々のカスタマー対応で溜まった「よくある質問」をFAQページにまとめると、問い合わせの数自体を減らせる。Claude にFAQの作成も依頼できる。


(プロンプト例: FAQ作成)

私のECショップでよく受ける問い合わせを以下にまとめました。これをもとに、ショップのFAQページ用の文章を作成してください。

条件:

  • 質問と回答のQ&A形式
  • 回答は100〜150文字で簡潔に
  • 敬語だが親しみやすいトーン
  • カテゴリ別に整理する(商品について / 配送について / 返品・交換について / その他)

よくある問い合わせ:

  1. 金属アレルギーでも使えるか → 14KGFは出にくいが保証はできない
  2. 天然石の色が写真と違うか → 個体差がある、光り方が美しいものを選んで発送
  3. いつ届くか → 注文から3営業日以内に発送、発送後1-3日
  4. 届け先を変更したい → 発送前なら変更可。メッセージで連絡してほしい
  5. サイズが合わなかった → 到着後7日以内、未使用なら交換可
  6. ラッピングはできるか → +200円で対応。メッセージカードは無料
  7. 領収書はもらえるか → 発行可。注文時にメッセージで依頼してほしい
  8. まとめ買い割引はあるか → 3点以上で10%オフ (以下、あなたのショップで多い質問を追加)

Claude が作成したFAQを商品ページの下部やショップの「よくある質問」ページに掲載しておくと、問い合わせが2〜3割減ることが期待できる。FAQページがあると、お客様自身で疑問を解決できるだけでなく、ショップの信頼感にもつながる。

まとめて対応する: 1日分の問い合わせを一括処理

朝や夕方にまとめて対応する方法もある。1日分の問い合わせをまとめてClaude に渡し、一括で下書きを作ってもらう。


(プロンプト例: まとめて対応)

以下の5件のお客様からの問い合わせについて、それぞれ返信の下書きを作成してください。番号をつけて出力してください。

問い合わせ1: お客様名: A様 メッセージ:「注文した商品の発送状況を教えてください」 補足: 昨日発送済み。追跡番号 1234-5678-9012

問い合わせ2: お客様名: B様 メッセージ:「このネックレスとピアスのセットで購入した場合、まとめ買い割引は適用されますか」 補足: 2点なので割引対象外(3点以上で10%オフ)

問い合わせ3: お客様名: C様 メッセージ:「先日のピアス、とても気に入っています!リングも作る予定はありますか?」 補足: リングは現在制作予定なし。来月以降に検討中

問い合わせ4: お客様名: D様 メッセージ:「海外への発送は対応していますか」 補足: 海外発送は現在対応していない

問い合わせ5: お客様名: E様 メッセージ:「昨日届いたのですが、箱が少し潰れていました。中身は無事です」 補足: 配送業者の取り扱いによるもの。お詫びと、商品に問題がないか確認


この方法なら、5件の返信が3〜5分で揃う。あとは1件ずつ確認して送信するだけだ。10〜15分で5件の対応が完了する。1件ずつゼロから書いていたときの半分以下の時間だ。

返信テンプレート集を自分で作る

Claude を毎回使わなくても済むように、よくあるパターンの返信テンプレートを作っておくのも効果的だ。Claude にテンプレートの雛形を作ってもらおう。


(プロンプト例: 返信テンプレート集の作成)

私のECショップ用の返信テンプレート集を作成してください。以下のパターンごとに、穴埋めで使えるテンプレートを作ってほしい。

穴埋め部分は【 】で囲んでください。

パターン:

  1. 商品の在庫確認への返信(在庫あり / 在庫なし・再入荷未定 / 在庫なし・再入荷予定あり)
  2. 発送完了のお知らせ
  3. サイズ交換の案内
  4. 不良品のお詫びと交換案内
  5. ギフトラッピングの案内
  6. レビューへのお礼
  7. 長期不在で商品が戻ってきた場合の連絡
  8. カスタムオーダーの見積もり回答

トーン: 丁寧で温かみがある。ショップ名は【ショップ名】としておく。


このテンプレート集を手元に用意しておけば、定型的な問い合わせはテンプレートの穴埋めだけで対応できる。テンプレートにない内容や、複雑な問い合わせが来たときだけClaude に相談する。この組み合わせが最も効率的だ。

まとめ

ECサイトのカスタマー対応は、Claude Cowork を活用することで大幅に効率化できる。ショップ情報と商品カルテを最初に伝えておけば、問い合わせをコピー&ペーストするだけで適切な返信の下書きが1〜2分で完成する。1日8〜12件の問い合わせに2〜3時間かけていた作業が1時間以内に収まる。浮いた時間で新商品の制作や撮影、SNSでの発信など、売上に直結する活動に集中できる。

まずは今日届いた問い合わせ1件で試してみてほしい。ショップ情報のプロンプトをコピーして、あなたのショップの情報に書き換え、問い合わせを貼り付ける。所要時間は3分だ。

特典

この記事で紹介したプロンプトに加え、ECカスタマー対応でよく使う10パターンの返信テンプレート、商品カルテのひな形、FAQ作成用プロンプトをまとめた。プラットフォーム別(minne、BASE、Shopify、メルカリShops)のトーン調整ガイドも収録。コピーして商品情報を書き換えるだけで使える。

→ ECカスタマー対応プロンプト集をダウンロードする(無料) /resources

参考リファレンス