Claude で営業提案書を30分で作る方法|非エンジニアの営業マネージャーが今日から使えるステップガイド

冒頭

従業員40人の IT サービス会社で営業マネージャーをしている方が、こんなことを言っていた。「提案書を1本作るのに2〜3時間かかる。週に3本も4本も作っていると、肝心の商談準備やフォローの時間が取れない」。

営業提案書の作成は、営業活動の中でもっとも時間がかかる作業の1つだ。構成を考え、顧客の課題を整理し、自社の強みを言語化し、見積もりを添え、体裁を整える。丁寧にやれば半日仕事になる。

この記事では、Claude Cowork(claude.ai にアクセスして使える Web アプリ版の Claude)を使って、営業提案書の下書きを30分で作成する手順を5つのステップで解説する。記事の最後に、そのままコピーして使える提案書用プロンプト集(PDF)を用意している。

なぜ Claude で提案書が作れるのか

図: Claude が提案書作成に向いている理由(画像生成待ち)

Claude Cowork は、テキストの生成と構造化が得意な AI だ。営業提案書のように「決まった構成」で「相手に合わせた内容」を書く作業は、Claude の強みと合致する。

具体的には、以下の3つの点で提案書作成に向いている。

1つ目は、構造化の正確さ。「表紙、課題整理、提案内容、期待効果、費用、スケジュール、会社概要」といった定型的な構成を指示すれば、その通りに各セクションを作ってくれる。

2つ目は、文脈を読む力。「相手は従業員80人の製造業で、生産管理のデジタル化に課題がある」と伝えると、製造業の文脈に合った表現や、生産管理に関連する具体例を交えた文章を作ってくれる。

3つ目は、日本語の品質。ビジネス文書として違和感のない日本語で出力される。「です・ます調で、丁寧だが堅すぎないトーンで」と指示すれば、提案書にふさわしい文体で書いてくれる。

ただし、Claude は万能ではない。自社の製品やサービスの細かい仕様、過去の実績の正確な数字、見積もり金額——こうした情報は、あなたが入力する必要がある。Claude は「ゼロから提案書を作る魔法」ではなく、「あなたが持っている情報を、読みやすい提案書の形に整える道具」だ。

Claude Cowork の基本的な使い方は「Claude Cowork とは」(/articles/503)で解説している。

ステップ1: 提案書の前提情報を整理する(5分)

Claude に提案書を作らせる前に、以下の情報を手元に用意する。すべて揃っている必要はないが、多いほど提案書の品質が上がる。

必須情報(これがないと始まらない):

  • 顧客の会社名、業種、従業員規模
  • 顧客が抱えている課題(商談で聞いた内容)
  • 自社が提案するサービス・製品の概要

あると品質が上がる情報:

  • 顧客の担当者の役職(社長向けか、部長向けかで書き方が変わる)
  • 過去の商談で出た顧客の要望や懸念
  • 競合他社の提案状況(もし分かれば)
  • 自社の類似案件の実績
  • 概算の費用感
  • 提案するスケジュール

これらをメモ帳やスプレッドシートにまとめておく。箇条書きで十分だ。きれいに整理する必要はない。Claude が読めればそれでいい。

ステップ2: Claude に構成案を作らせる(5分)

Claude Cowork(claude.ai)を開いて、以下のようなプロンプトを入力する。


私は IT サービス会社の営業マネージャーです。以下の情報をもとに、営業提案書の構成案を作ってください。

顧客情報:

  • 会社名: 山田製作所(仮名でOK)
  • 業種: 製造業(金属加工)
  • 従業員数: 約80名
  • 課題: 生産管理が紙とExcelベースで、受注から出荷までのリードタイムが把握できていない。月末の棚卸しに毎回3日かかっている。

提案内容:

  • クラウド型の生産管理システムの導入
  • 導入期間は約3か月
  • 月額費用は15万円程度

提案書の構成は以下の形式でお願いします:

  1. 表紙(タイトル、日付、提出先、提出元)
  2. エグゼクティブサマリー(提案の要点を1ページで)
  3. 御社の現状と課題
  4. 提案内容
  5. 導入による期待効果(数字で示す)
  6. 導入スケジュール
  7. 費用
  8. 当社の実績・強み
  9. 次のステップ

です・ます調で、丁寧だが堅すぎないトーンでお願いします。


Claude は、この情報をもとに各セクションの見出しと、そこに書くべき内容の概要を返してくれる。この構成案を見て「この項目は不要」「ここにこの情報を足したい」と判断できる。

ポイントは、最初に構成案だけを作らせること。いきなり全文を書かせると、方向性がずれたまま長文が生成されてしまう。構成案を確認してから本文を書かせたほうが、手戻りが少ない。

ステップ3: セクションごとに本文を書かせる(15分)

図: 提案書作成の5ステップ(画像生成待ち)

構成案がOKなら、セクションごとに本文を書かせる。1回で全文を書かせるのではなく、セクション単位で進めるのがコツだ。

例えば「エグゼクティブサマリー」のセクションはこう指示する:


上記の構成案をもとに、「2. エグゼクティブサマリー」を書いてください。

条件:

  • 300字以内
  • 課題→提案→効果→費用の順で簡潔にまとめる
  • 社長が30秒で内容を把握できるレベルの粒度で

「御社の現状と課題」のセクションはこう指示する:


「3. 御社の現状と課題」を書いてください。

以下の情報を盛り込んでください:

  • 現在の生産管理は紙とExcelベース
  • 受注から出荷までのリードタイムが可視化されていない
  • 月末の棚卸しに毎回3日(延べ15人日)かかっている
  • 作業者によって入力方法がバラバラで、データの信頼性に課題

顧客を責めるような表現は避け、「業界全体で共通する課題」として寄り添うトーンで書いてください。500字程度でお願いします。


このように、各セクションで「何を書くか」「どんなトーンで」「何字くらいで」を具体的に指示する。Claude は、前の会話の内容を覚えているので、毎回すべての前提情報を繰り返す必要はない。

1セクションあたり1〜2分で入力し、Claude の出力を確認する。修正が必要なら「ここをもう少し具体的に」「この表現を変えて」と追加で指示すればよい。

ステップ4: 全体を通して確認・修正する(5分)

すべてのセクションが揃ったら、Claude に全体の通し確認をさせる。


ここまでのセクションを全て結合して、提案書の全文として出力してください。その際、以下を確認してください:

  • セクション間で矛盾がないか
  • トーンが統一されているか
  • 同じ表現の繰り返しがないか

出力された全文を読み通して、以下をチェックする。

人間が確認すべきポイント:

  • 顧客の会社名、担当者名が正しいか
  • 数字(金額、期間、人数)が正しいか
  • 自社の製品名やサービス名が正しいか
  • 競合に対する言及が適切か(名指し批判は通常NG)
  • 社内の承認を得ていない約束(特別割引、納期保証等)が含まれていないか

この確認は、Claude ではなくあなた自身がやる必要がある。Claude は事実関係を検証できない。提案書の内容に責任を持つのは、提出するあなた(と、あなたの会社)だ。

ステップ5: 体裁を整えて完成

Claude の出力はテキストなので、最終的には PowerPoint、Word、Google スライドなど、あなたの会社で使っているフォーマットに貼り付ける。

社内に提案書のテンプレート(ひな形)があるなら、そこにテキストを流し込むだけだ。テンプレートがない場合は、Claude に「この内容を PowerPoint のスライド構成にしてください」と指示すれば、スライドごとの内容を整理してくれる(ただし、PowerPoint ファイル自体を生成することはできない)。

品質を上げるためのテクニック3選

ここまでの基本ステップに加えて、提案書の品質をさらに上げるテクニックを3つ紹介する。

テクニック1: 過去の提案書を Claude に読ませる。 過去に成約した提案書があれば(機密情報を除外した上で)、その文章を Claude に貼り付けて「このトーンと構成で新しい提案書を書いて」と指示する。自社らしい文体や構成が再現される。

テクニック2: 顧客の視点でレビューさせる。 提案書ができたら、Claude に「あなたは製造業の社長です。この提案書を読んで、分かりにくい点や不安に感じる点を指摘してください」と依頼する。顧客視点の気づきが得られることがある。

テクニック3: Projects 機能を活用する。 Claude Cowork の Projects(プロジェクト)機能を使えば、自社の会社概要、サービス説明、実績リストなどを保存しておける。提案書を作るたびに同じ情報を入力する手間が省ける。Team プラン以上で利用可能だ。

よくある不安と答え

図: AI で提案書を作ることへの不安と現実(画像生成待ち)

「AI で作った提案書を出して、顧客にバレたら失礼ではないか」 → 営業提案書は、顧客の課題に対して自社が何を提案できるかを伝えるための文書だ。その中身が的確で、顧客の役に立つ内容であれば、作成に AI を使ったかどうかは本質ではない。ただし、Claude の出力をそのまま貼り付けるのではなく、あなた自身の言葉で修正・補足することが大切だ。

「全部同じようなテンプレ提案書になってしまうのでは」 → テンプレ感が出るのは、顧客固有の情報を十分に入力していないときだ。ステップ1で顧客の課題や要望を具体的にメモし、それを Claude に伝えれば、顧客に合わせた内容が生成される。ヒアリング情報が多いほど、提案書の個別性は上がる。

「顧客の情報を Claude に入力しても大丈夫か」 → Claude の Pro プラン以上であれば、入力データが AI の学習に使われない。会社として Team プランを契約しているなら、さらに安心だ。不安な場合は、顧客名を仮名(A社、B社)にして入力する方法もある。セキュリティの詳細は「Claude に社内情報を入れても大丈夫?」(/articles/512)で解説している。

「提案書の著作権はどうなるか」 → AI が生成した文章の著作権については、現在も法整備が進行中だ。ただし、AI の出力をベースにあなたが修正・編集した文書は、あなた(の会社)が作成した文書として扱われるのが一般的だ。詳しくは「Claude の著作権と商用利用」(/articles/518)で解説している。

まとめ

営業提案書の作成は、Claude Cowork を使えば2〜3時間から30分に短縮できる。手順は、前提情報の整理(5分)→構成案の作成(5分)→セクション別の本文作成(15分)→確認・修正(5分)。大切なのは、Claude に「丸投げ」するのではなく、あなたが持っている顧客情報と判断力を、Claude の文章力と構造化力で増幅すること。まずは次の提案書1本から試してみてほしい。

特典

営業提案書を Claude で作るためのプロンプト集(PDF)を用意した。「構成案を作るプロンプト」「各セクションを書くプロンプト」「顧客視点でレビューするプロンプト」など、コピーしてそのまま使えるプロンプト8本を収録している。

→ 営業提案書プロンプト集をダウンロードする(無料) /resources

参考リファレンス

  • Anthropic 公式サイト(anthropic.com)
  • Claude Lab 関連記事:「Claude Cowork とは|非エンジニアが今日から仕事に使える AI アシスタントの全体像」(/articles/503)
  • Claude Lab 関連記事:「Claude に社内情報を入れても大丈夫?|非エンジニアが最初に確認すべきセキュリティの基本」(/articles/512)
  • Claude Lab 関連記事:「Claude の著作権と商用利用」(/articles/518)
  • Claude Lab 関連記事:「Claude にできること・できないこと」(/articles/513)
  • Claude Lab 関連記事:「Claude 料金プラン完全ガイド」(/articles/506)