LPコピーを10種類作ってA/Bテスト|成約率を3倍にする小さな工夫

同じ商品でも、LPのコピー1行で成約率が3倍変わることがある。だから10種類作ってみる価値がある。

これはきれいごとではない。私が知っているある個人事業主は、月額9,800円のオンライン講座を売るLP(商品紹介ページ)のヘッドコピーを書き換えただけで、成約率が1.2%から3.8%に跳ね上がった。商品は1文字も変えていない。値段も、画像も、申し込みフォームも、ぜんぶそのまま。変えたのはファーストビュー(LPを開いて最初に見える画面)の一行だけだった。

それで売上は月15万円から47万円になった。変更にかかった時間は30分。この話を聞いたとき、私は少しだけ震えた。自分がこれまで書いてきたLPのコピーは、どれだけの機会損失を生んできたのだろうと。

この記事では、AIを使ってLPのコピーを10種類量産し、A/Bテスト(2つ以上のパターンを出し分けて勝敗を決める検証)で勝ちパターンを見つけ、次のテストにつなげる手順を紹介する。1時間あれば10案を作れる。特別なツールも、マーケティングの専門知識もいらない。必要なのは、自分のLPを一度だけ疑ってみる勇気だ。

この記事の前提

この記事は、すでに小さなLPを持っていて、成約率をもう一段上げたい個人事業主に向けて書いている。たとえばオンライン講座、コーチング、有料コミュニティ、デジタル商品、受託サービスの申し込みページ。月に100人は訪れるけれど、申し込みは数件止まり。そういう状態の人にいちばん刺さる内容だ。

大前提として、ここで扱うのはコピーの話だけだ。商品そのものの魅力や価格設定、広告の当たり外れは別の論点として切り分けている。LPに来た人が買ってくれる確率、いわゆる成約率をコピーで動かす話だと思ってほしい。

もうひとつ。この記事では10種類という数字にこだわっている。3種類や5種類では足りない理由も後で説明する。結論だけ先に言っておくと、人間の頭は自分が書きたい方向に引っ張られるので、数を作らないと偶然良いものに出会えないからだ。

なぜコピー1行で成約率が3倍変わるのか

ファーストビューが成約率を決める3要素

図: ファーストビューが成約率を決める3要素

LPに訪れた人が最初に見るのは、ファーストビューと呼ばれる上部の1画面分だ。ここに書かれたヘッドコピー、サブコピー、ボタンの文言。この3つが読者の第一印象をほぼ決定する。

ある調査では、LPを開いた人の約55%が3秒以内に離脱するという。3秒で何を判断しているかといえば、自分に関係があるかどうか、それだけだ。関係があると感じれば読み進める。関係ないと感じれば閉じる。その判断を担うのがファーストビューの一行なのだ。

ここで問題になるのは、商品を作った本人ほど自分の商品を客観視できないということ。自分は商品の全機能を知っているから、全部を伝えたくなる。結果、たとえば次のような抽象的なコピーが生まれる。

・あなたのビジネスを次のステージへ ・プロが教える本気の講座 ・人生を変える3ヶ月

どれもよく見る。そしてどれも成約率が低い。なぜなら、読者の頭の中で何も起こらないからだ。何も映像が浮かばないし、自分の問題との接点も見えない。

一方で成約率が高いコピーには、ほぼ例外なく次の3つのどれかが入っている。

  1. 具体的な読者の状況(例: 納品が終わったあとに請求書を書き忘れて1ヶ月気づかなかった個人事業主へ)
  2. 具体的な結果(例: 月5時間の経理作業が10分になる)
  3. 具体的な方法(例: Google スプレッドシート1枚でできる)

この3つのうち、どれが読者に効くかは事前にはわからない。だからテストする。

10種類作る理由

3種類では足りない。5種類でもまだ甘い。10種類作るべき理由は、人間の発想には必ず偏りがあるからだ。

自分で5案書いてみるとわかる。なぜか全部、似た言い回しになる。語尾が揃い、論点が揃い、使っている言葉も揃う。これは発想の硬直ではなく、脳の省エネ機能が働いているからだ。一度ハマった型を使い回すほうが楽だから、脳は勝手にそうしてしまう。

10種類まで無理やり絞り出すと、後半の5案はかなり苦しくなる。ここが大事なところだ。苦しくなった先で出てくる案こそ、自分が普段書かない角度のコピーになる。そしてA/Bテストで勝つのは、しばしば最後の苦しい3案のうちのどれかだったりする。

AIを使えばこの苦しさを肩代わりできる。人間は1案書くのに10分かかるが、AIは10案を1分で出す。もちろん、そのまま使える品質のものは半分もない。でも、たたき台としては十分だ。人間の仕事は、出てきた10案を読者の視点で選別することに変わる。

参考になる事例

事例1 あるフリーランスデザイナーのケース

知り合いのフリーランスデザイナーは、ロゴ制作5万円のサービスLPをずっと運用していた。月間訪問数は約300人。申し込みは月2〜3件。成約率にして0.7%前後で、半年以上この数字から動かなかった。

本人は商品に問題があると思っていた。価格を下げるべきか、制作本数を増やすべきか、特典をつけるべきか。そんなふうに商品側をいじる発想になっていた。

それを知人のマーケターに相談したところ、最初に返ってきた言葉はこうだった。まずコピーを10本書いて。商品は触らないで。

彼女は半信半疑でAIに10案を出させ、そのうち3案を選んでLPのヘッドコピーを差し替えた。差し替えたのはファーストビューの一行だけ。選ばれたコピーのうち一番成績が良かったのは、次のような内容だった。

ロゴを発注したことがない個人事業主のための、やり直しができるロゴ制作

要点は3つある。ターゲットを発注未経験者に絞ったこと、やり直しができるという具体的な安心材料を入れたこと、それ以外の一切の飾りを捨てたこと。結果、成約率は0.7%から2.1%に上がった。月の申し込みは2〜3件から6〜7件へ。売上にして15万円から35万円へ動いた。

彼女が後から言っていたのは、10案書かなかったら絶対このコピーには辿り着かなかったということだった。3案くらいだと、どうしても綺麗な言葉に逃げてしまう。10案目で初めて、やり直しができるという一番地味な言葉を書けたらしい。

事例2 海外のB2C SaaSの例

海外のB2C SaaS(月額制で使う個人向けソフトウェア)企業の中には、ヘッドコピーのA/Bテストを週単位で回しているところがある。月額15ドルほどの習慣トラッキング(習慣の達成度を記録するツール)アプリを出しているある会社は、公開情報の中で次の話を書いていた。

彼らはヘッドコピーを8パターン同時にテストした。勝ったのは、機能を説明したコピーでもベネフィットを語ったコピーでもなく、次のような一行だった。

三日坊主の人のためのアプリ(続けられる人は使わないでください)

成約率は元のコピーの約2.6倍になった。面白いのは、このコピーが社内会議では最下位の評価だった点だ。ブランドイメージを損なうという声が大きくて、そもそもテストに入れるかどうかで議論が割れたという。それがふたを開けてみたらダントツで勝った。

この事例が教えてくれるのは、勝つコピーは会議で勝たないということだ。社内の常識的な判断と、読者の指が押すボタンは、ぜんぜん別のロジックで動いている。だから実測するしかない。

事例3 個人コーチの月5万円コース

もうひとつ、国内で知っている例を挙げる。ある個人コーチは月5万円のコーチング3ヶ月コースを売っていた。LPの成約率は1%前後。

彼はAIで10案を作り、そのうち5案を1週間ごとに入れ替えてテストした。1週間あたりの訪問者数は約150人と少なかったので、本来ならもっと長く回すべきだが、感覚を掴むために短いサイクルで試したという。

勝ったのは次のコピーだった。

毎朝起きた瞬間に仕事のことを考えてしまう人へ。3ヶ月後、起きて5分は何も考えない朝を取り戻します。

このコピーにしてから、成約率は1%から3.4%に上がった。月の売上にして15万円から50万円へ。変えたのはコピーだけだ。

彼が後から振り返って言っていたのは、AIが最初に出した案ではなく、AIの案を見て自分が気づいた朝のシーンを入れられたことが勝因だった、ということ。AIは発想のきっかけをくれたが、最後の1行は自分の観察から生まれた。ここも大事なポイントだ。AIは10案を量産するための相棒であって、代筆者ではない。

具体的な手順

1時間で10案作ってA/Bテストを回すまで

図: 1時間で10案作ってA/Bテストを回すまで

ここから、1時間で10案作ってA/Bテストを回すまでの手順を書く。手を動かしながら読んでほしい。

ステップ1 今のLPを1枚のテキストにまとめる(10分)

まず、現在のLPに書かれている情報をテキストファイル1枚にまとめる。商品名、価格、提供内容、想定読者、いまのヘッドコピー、サブコピー、ボタン文言、実績数字。この8項目を箇条書きで書き出すだけでいい。

この作業を省くと、このあとのAI出力が的外れになる。急がば回れだ。

ステップ2 AIにコピー10案を依頼する(10分)

Claude や ChatGPT に次のようなプロンプトを投げる。

あなたはLPコピーのプロライターです。
以下の商品情報を読み、LPのファーストビューに置くヘッドコピーを10案作ってください。

【商品情報】
(ここにステップ1でまとめたテキストを貼る)

【条件】
・1案あたり25文字以内
・10案すべて違う切り口にする
・以下の切り口を最低1つずつ含める
  1. 読者の具体的な状況を映す
  2. 具体的な結果を約束する
  3. 競合との違いを明示する
  4. 逆説を使う(例: できる人は使わないでください)
  5. 数字を主役にする
  6. 時間の制約を示す
  7. 恥ずかしさや弱さを肯定する
  8. ビフォーアフターを対比する
  9. 質問形で始める
  10. 「あなた」を使わずに書く

出力は1から10までの番号付きリストで。

切り口を先に指定するのがコツだ。これを指定しないとAIは同じような案を10個並べてしまう。切り口を10通り用意することで、自動的に多様性が担保される。

ステップ3 10案を読者視点で3案に絞る(15分)

出てきた10案をそのまま使ってはいけない。ここからは人間の仕事だ。

自分を読者の立場に置き直して、1案ずつ声に出して読む。そのとき、次の3つを自問する。

・3秒で内容が理解できるか ・自分の状況が映っているか ・読んだあと、次の行を読みたくなるか

この3つをすべて満たす案だけが残る。だいたい10案中3〜4案になるはずだ。3案を選んだら、その3案を自分の言葉で少しだけ書き直す。AIの文章は少し整いすぎているので、1語2語をカジュアルにしたり、自分の観察を1つ足したりする。事例2の三日坊主や事例3の朝のシーンのような、具体的な言葉がここで入る。

ステップ4 A/Bテストを仕込む(15分)

LPの作成ツールによって方法が違うが、主要なノーコードツールのほぼすべてにA/Bテスト機能がついている。

・STUDIO(国内のノーコードLPツール) ・ペライチ(LP特化のノーコードツール) ・Framer(海外のデザイン特化ツール) ・WordPress + プラグイン(無料から始められる組み合わせ) ・Google Optimize は2023年に終了したので使えない

もしツールにA/Bテスト機能がなければ、期間で区切って前半と後半を比較する方法でも代用できる。たとえば1週目はパターンA、2週目はパターンB、3週目はパターンC、という形だ。これは季節要因や曜日要因が混ざるので精度は落ちるが、方向性を掴むには十分だ。

成果を測る指標はシンプルに1つだけ決める。成約率(申し込み完了数 ÷ 訪問者数)。これ以外は見ない。滞在時間やスクロール率は参考程度にとどめる。判断を1つに絞らないと、あとで結論が曖昧になる。

ステップ5 サンプル数が貯まるまで待つ(7〜14日)

ここが一番難しい。待てない。

目安として、各パターンの訪問者が最低200人貯まるまでは判定してはいけない。これは統計的に信頼できる最低ラインだ。200人未満で判定すると、ただのブレを拾ってしまう。

月の訪問者が600人のLPであれば、1パターンあたり200人貯まるまで3週間かかる。3週間でテスト3パターン。1ヶ月に1回勝敗を決める、というテンポだ。これが現実的なサイクルになる。

訪問者が少ないLPほどテストに時間がかかる。逆に言うと、広告を回してでも訪問者を増やしたほうが、テストを高速に回せるのでROIが良くなる場合もある。ここは事業のフェーズ次第だ。

ステップ6 勝ったパターンから次の仮説を立てる(10分)

テストが終わったら、勝ったコピーと負けたコピーを並べて、何が違ったのかを言語化する。ここが一番大事な工程だ。

言語化のコツは、勝因を1文に絞ることだ。たとえば、勝ったコピーは読者の恥ずかしさを肯定していたから勝った、というふうに。この1文が次のテストの仮説になる。次は恥ずかしさ肯定のバリエーションをもう1段深掘りする、といった形で進化させる。

勝ったまま満足して止めないこと。勝ちパターンはそのうち飽きられる。定期的にチャレンジャーを送り込んで、現チャンピオンを脅かし続けるのが理想だ。

よくある失敗・落とし穴

負けるコピー作りと勝つコピー作り

図: 負けるコピー作りと勝つコピー作り

ここからは、私や周りの人がハマった失敗例を書く。

失敗1 テスト期間を短くしすぎる

数日で結果が見えたと思い込んで、早々にパターンを切り替えてしまうパターン。日によって訪問者の質は変わる。月曜の訪問者と土曜の訪問者ではまったく違う。最低7日、できれば14日はテストを回したほうがいい。

失敗2 同時に複数の要素を変える

ヘッドコピーと画像とボタン色を一度に変えると、何が勝因なのかわからなくなる。1回のテストで変えるのは1箇所だけ。地味だが、ここを守らないとテストがただの気分転換に終わる。

失敗3 自分の好みで案を選ぶ

自分がかっこいいと思う案ほど、読者には刺さらない。自分が恥ずかしいと思う案ほど、刺さる。これは不思議な法則だ。事例2の三日坊主のコピーも、事例3の朝のシーンも、作った本人は最後まで迷っていたという。自分が迷う案こそテストに入れる。

失敗4 勝敗を決めずに流し続ける

テストを始めたのに、結果を見るタイミングを決めずに放置するパターン。これが一番多い。テスト開始時に、終了日と判定基準を必ずカレンダーに入れる。たとえば、4月28日時点で成約率の差が1.5倍以上あれば勝ちと判定する、というふうに具体化しておく。

失敗5 勝ったコピーを他のLPにも使い回す

勝ったコピーは、そのLPの文脈と商品と読者層の三点セットで勝っている。他のLPに持っていっても勝つとは限らない。コピー自体ではなく、勝因の構造(切り口)を転用する。

失敗6 AIが出した案をそのまま使う

AIの出力はたたき台にすぎない。最後の1語2語を自分の観察で書き換えない限り、どこかで見たことのあるコピーになる。AIは発想の広さを担当し、人間は具体性の深さを担当する。この分業を守ることが成功の鍵だ。

失敗7 成約率以外の数字に気を取られる

スクロール率が上がった、滞在時間が伸びた、と喜んでしまう。でも売上が伸びなければ意味がない。最初に決めた指標1つだけを見る。

明日からやる3つのこと

最後に、読み終わったあとすぐに動けるよう、3つだけアクションを置いておく。

  1. 今日のうちに、自分のLPの情報をテキスト1枚にまとめる。商品名、価格、提供内容、想定読者、現ヘッドコピー、実績数字の6項目でいい。これを終わらせれば、もう半分進んだのと同じだ。

  2. 明日、AIに10案のコピーを出させる。切り口10通りを指定するプロンプトを使う。出てきた10案を声に出して読み、3案を選ぶ。ここまで1時間以内で終わらせる。

  3. 今週中にA/Bテストを仕込む。テスト期間は最低14日。終了日と判定基準をカレンダーに入れる。これで、2週間後には1つ目の勝敗がわかる。

ここまでやって、もし成約率が1.5倍にも届かなかったら、それはコピーの問題ではなく商品や価格の問題かもしれない。でもその判断は、10案テストしてから初めて言えることだ。3案では言い切れない。5案でもまだ早い。10案まで試してようやく、コピーは悪くなかったと胸を張れる。

コピー1行で成約率が3倍変わるのは、魔法でもセンスでもなく、ただ10案作って試す人が少ないから起きている。だから、やる人の勝ちだ。今週中に10案作って、2週間後に勝敗を見てほしい。結果を見た瞬間、LPの景色が変わる。その体験は、たぶんこの記事よりずっと雄弁に、コピーの力を教えてくれる。