商談録画を次回提案に使うなら、文字起こしからすぐ提案書を書かせず、発言の根拠が残る「提案準備メモ」を一度作ります。相手の希望、商談中の合意、自社で未確認のことを分けると、提案の下書きへ進める部分と、先に聞くべきことが見えます。
Claudeには文字起こしの整理や質問案の作成を任せられます。ただし、録画すれば必ず文字起こしができるわけではなく、確認を含む作業が何分で終わるかも素材次第です。本稿では、Zoom・Google Meetの取得条件と、架空の商談を使った2段階の指示例を示します。
録画と文字起こしの取得条件を確認する
まず、録画・文字起こし・外部AIでの利用について、社内ルールと参加者との取り決めを確認します。対象外の雑談や個人情報を含む部分は、提案に必要な資料へ混ぜずに扱います。
機能面では、次の違いがあります。以下は2026年10月6日に確認した公式説明に基づきます。
| 利用する機能 | 確認すること | Claudeへ渡す前の扱い |
|---|---|---|
| Google Meetの文字起こし | 対応するWorkspace契約、設定、開始権限、保存容量 | 主催者のDriveにある文字起こしを開き、必要な発言を確認する |
| Zoomのクラウド録画用音声文字起こし | クラウド録画が有効な対象の有料契約など。下記の言語条件にも注意 | 処理後のVTTを確認し、話者と時刻を残してテキストを用意する |
Meetの文字起こしは日本語に対応し、録画とは別に開始・停止や自動開始を設定する機能です。録画をオンにしただけで、常にTXTファイルまで自動作成されるとは置きません。Google Meetの公式説明
Zoomの上表の機能は、公式ページで英語のみ・クラウド録画のみと案内されています。日本語の商談では、利用する別の文字起こし機能やサービスが日本語に対応しているかを確認してください。字幕、AI要約、クラウド録画の音声文字起こしを、同じ機能として扱わないようにします。Zoomの公式説明
Claudeのファイル入力はTXTやDOCXなどに対応しています。本稿では、許可された文字起こしの必要部分をテキストとして貼るか、対応形式で渡します。VTTは内容を確認し、話者・時刻・本文を保ったテキストへ整えます。動画を直接アップロードする手順は扱いません。Claudeの対応ファイル形式
要約する前に、発言の位置と訂正を残す
営業のメモでは、短くするほど良いとは限りません。「5拠点で始めたい」の後に「訂正します。まず3拠点です」があった場合、前半だけの要約は提案範囲を変えてしまいます。
文字起こしを整える際は、発言時刻と話者を残します。後から訂正された発言も消し切らず、どこで変わったかを追えるようにします。文字起こしに時刻がなければ、発言番号を付ける方法でも構いません。
そのうえで、次の4つを分けます。
| 区分 | 書く内容 | 提案準備での使い方 |
|---|---|---|
| 課題 | 相手が困っていること | 解決したい問題の候補にする |
| 希望 | 時期・範囲・予算などの希望 | 承認済み条件や自社の約束にしない |
| 合意 | 互いに確認した次の行動など | 発言者と期限を原文で照合する |
| 未確認 | まだ回答・決定していないこと | 次回の質問や社内確認に回す |
「いいですね」と言った回数だけで受注確度を数値にしたり、「検討します」から担当者や期限を補ったりする必要はありません。具体化するのは次に聞く質問であって、過去の合意ではありません。

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演習:希望と合意を分けて提案準備メモを作る
以下は架空の商談抜粋です。実際の録画・文字起こし・Claude実行は行っていません。示す出力は、確認の観点を説明するための記入例です。
架空の商談:設備点検記録の電子化
商談日:2026年10月6日
[02:10] 先方担当:点検記録は紙です。
月末に一覧へ転記する作業が困っています。
[06:00] 先方担当:最初は5拠点で考えています。
[07:20] 先方担当:訂正します。まず3拠点です。
[10:00] 先方担当:11月開始が希望です。
予算は月30万円以内を考えていますが未承認です。
[12:30] 自社担当:既存システムとのAPI連携は
技術担当へ確認してから回答します。
[16:00] 自社担当:10月9日までに、CSV出力の
サンプル資料をこちらから送ります。
[16:20] 先方担当:その資料で確認を進めましょう。
まず、次の指示で発言を整理します。業務で使う場合は、下の指示と文字起こしを一緒に渡してください。
文字起こしから提案準備メモを作ってください。
課題・希望・合意・未確認に分け、各項目に
根拠の発言時刻と話者を付けてください。
後の発言で訂正された内容は訂正後を採用し、
訂正前の値と根拠も短く残してください。
希望の時期・予算を承認済みと扱わないでください。
担当者・期限・機能・効果を推測で埋めず、
ないものは未確認としてください。
受注確率や相手の感情の点数は付けません。
記入例では、課題は紙の記録を月末に転記する作業(02:10)。希望範囲は3拠点で、06:00の5拠点を07:20に訂正したと残します。11月開始と月30万円以内は希望であり、予算は未承認です(10:00)。API連携は回答待ちです(12:30)。
合意した次の行動は、自社側が10月9日までにCSV出力のサンプル資料を送ることです(16:00・16:20)。一方、技術担当の個人名やAPI連携の回答期限は、この抜粋にはありません。資料送付の期限を、API連携の回答期限へ流用してはいけません。
自社資料を足して、次回提案の論点に変える
次の段階では、文字起こしだけから自社の機能や成果を作りません。確認済みのサービス資料を別に渡します。この演習では、次の架空の情報だけが使えるとします。
架空のサービス資料(確認用)
確認済み機能:点検記録の入力、CSV出力
未確認:既存システムとのAPI連携
料金:個別見積。今回の金額は未算出
導入日:今回の開始可能日は未確認
削減時間:今回の条件での測定なし
この情報を提案準備メモと一緒に渡し、次のように指示します。
提案準備メモとサービス資料だけを使い、
次回提案の下書きとして次の3点を作ってください。
1. 相手の課題に対して説明する確認済みの機能
2. 次回までに確かめる質問と、その理由
3. 提案書に確定事項として書いてはいけない内容
各項目の根拠を示してください。
機能の説明と、未検証の改善効果を分けてください。
質問案は商談中の合意と区別してください。
顧客への送信、CRM登録、日程確定は行いません。
この条件なら、入力とCSV出力を使って転記前後の作業をどうつなぐか、という説明案は作れます。しかし、CSV出力があることだけで、手入力が完全になくなるとは言えません。先方の一覧表の列や、今使っているシステムが取り込める形式を確かめる必要があります。
質問案は「3拠点で必要な入力項目は共通か」「CSVの列と取り込み先の条件は何か」「予算の承認手順はどうなっているか」などです。これは本稿の提案例であり、商談中に決まった宿題ではありません。自社側ではAPI連携、見積金額、開始可能日を別々に確認します。
下書きに「月30万円で11月開始を確約」「API連携に対応」「転記時間を半減」とあれば不合格です。どれも、この素材では確認できません。文章が滑らかでも、提案の根拠としては採用できないと判断します。
保存するのは、根拠へ戻れる下書き
担当者が確認するときは、金額・開始日・拠点数・機能・担当と期限を、元の発言とサービス資料へ戻して照合します。曖昧な音声や文字起こしの誤認識があれば、録画を確認するか、発言者に確かめる対象として残します。AIの言い換えで不明点を消さないことが大切です。
確認後は、元の文字起こし、提案準備メモ、確認質問、次回提案の下書きを、社内で決めた保存先にまとめます。CRMへ転記する欄も、顧客の発言と営業担当の提案を分けます。この指示例だけで自動保存や送信が行われるわけではありません。
最初は一つの商談で、どこに訂正や未確認が残るかを確かめてみてください。仕組みを評価するなら、文字起こしの確認から保存までの時間と、見つかった修正点を記録します。録画から提案までの速さだけでなく、確認していない約束を増やさず、次に聞くことを明確にできたかを判断の軸にできます。






