「うちみたいな40人の建材卸にも、AIのリスキリング助成金って使えるんでしょうか。商工会議所の冊子を読んだのですが、人材開発支援助成金・IT導入補助金・経産省のキャリアアップ支援事業、全部違うページに書いてあって、結局どれを申請すれば良いのか、誰が申請するのか、いつまでに何を出すのか、さっぱり分かりません。社員にClaude(アンソロピック社のAIアシスタント。文章作成や調査、業務自動化を日本語で頼めるAIです)を覚えさせたいのですが、毎月の業務を止めるわけにいかず、社長の私が10時間も調べる余裕もありません」——50人規模の食品商社の社長、30人の広告代理店の役員、20人の社労士事務所の所長、80人の建設業の管理部長。2026年6月、こうした相談が月に十数件入るようになりました。
結論を先に書きます。AIリスキリング(AIを業務で使いこなせる社員を育てる取り組み)の助成金は、2026年度も中小企業が現実的に使える制度が国・自治体あわせて複数あり、社員研修にかける費用の最大75%を公的資金でまかなえる設計が可能です。どれも申請の難易度はそれほど高くありません。必要なのは、自社がどれに該当するかを30分で見極めること、正しい順番で書類を出すこと、期限を守ること、の3つだけです。
そして2026年で最も重要な事実を1つ。中心となる人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」は令和8年度末(2027年3月31日)までの時限措置です。延長は2026年6月時点で公表されておらず、今年度がこの高い助成率で申請できる実質的に最後のチャンスになる可能性があります。「来年やろう」が通じないかもしれない制度だと、まず頭に入れてください。
本記事では、2026年6月15日時点の情報で、中小企業の経営者・人事・IT教育担当が次にやることを3ステップで決められるように整理しました。
注意: 本記事の制度名・要件・金額は2026年6月15日時点の各省庁・自治体の公表情報を元にした目安です。助成額・要件・締切は年度ごと・公募回ごとに変わります。申請直前には必ず厚生労働省・経済産業省・各都道府県労働局・各自治体(東京都の場合は東京しごと財団)の最新公式ページで確認してください。
この記事で分かること
- AIリスキリング関連で中小企業が使える助成金・補助金の最新4制度(2026年度版)
- それぞれの助成金が、何に、いくら(助成率・上限額)、どの規模の会社で使えるかの目安
- どの制度を選ぶかの判断チャート(社長・人事担当が30分で決まる)
- 申請の全体フロー(計画届 → 訓練実施 → 支給申請)
- よくある不採択理由と、事前に潰しておくポイント
- 2026年度の主な変更点と「令和8年度末で終わる」時限措置の締切リスク
- 社内の誰が何を担当すれば良いか(人事任せにしない分担)
- 申請準備を始める今日の第一歩
記事末尾に、制度選びを迷ったときの30分無料相談の案内があります。
AIリスキリング助成金とは——2026年度に使える4制度の全体像
AIやDXに関する社員教育で使える公的支援は、国の3制度と自治体制度に大別できます。呼び名は似ていますが、管轄省庁も金額感も、使える場面も全く違います。
柱1: 人材開発支援助成金(厚生労働省)
社員に訓練を受けさせたときに、訓練費用と訓練中の賃金の一部を返してくれる制度です。AIリスキリングで主に使うのは次の2コースです。
事業展開等リスキリング支援コース
- 経費助成率: 中小企業75%・大企業60%
- 賃金助成: 中小企業1,000円/時間・大企業500円/時間
- 1事業所が1年度に受給できる上限: 1億円、賃金助成の上限時間は1人1訓練あたり1,200時間
- 助成対象となる実訓練時間は10時間以上が要件
- このコースは令和8年度末(2027年3月31日)までの時限措置
生成AIを業務に活かす実践研修(プロンプト設計、業務自動化演習など)は対象ですが、「生成AIの仕組み紹介」といった概論・用語解説のみの研修は対象外です。
なお、2026年3月2日の制度改正で対象範囲が拡充され、「企業内の人事・人材育成計画に基づく訓練」も新たに助成対象に加わりました。ただしこの類型を中小企業が使う場合、あらかじめ認定経営革新等支援機関(国が認定した支援機関。商工会議所・金融機関・税理士法人など)による計画内容の事前確認が必要になった点に注意してください。「どの類型で申請するか」で必要書類が変わるため、最初に労働局へ相談するのが安全です。
人への投資促進コース
デジタル人材育成、定額制(サブスク型)研修、社員の自発的訓練が対象。Claudeのような生成AIの定額制eラーニングも助成率最大75%の対象になり得ます。
柱2: デジタル化・AI導入補助金2026(経済産業省系)
2026年度から「IT導入補助金」は「デジタル化・AI導入補助金2026」に改称され、AI搭載ツール導入が正面から支援対象になりました。
- 申請枠は通常枠・インボイス枠(2類型)・セキュリティ対策推進枠・複数者連携枠
- 申請にはGビズID(プライム)取得とSECURITY ACTION宣言**が必要、交付決定前の発注・支払いは対象外
- GビズIDは取得に約2週間、SECURITY ACTIONはアカウントID発行に約1週間かかるため、締切から逆算して早めに準備
- 直近締切: 通常・インボイス・セキュリティ枠が2026年7月21日17:00、複数者連携枠が8月25日17:00
柱3: リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業(経済産業省)
在職者本人が手を挙げて参加し、キャリア相談・講座受講・転職支援をワンセットで受けられる制度で、令和8年度末(2027年3月末)まで継続予定です。給付は二段階で、講座修了時に受講費用の1/2相当(上限40万円。転職の有無を問わず受給可)、さらに**雇用主の変更を伴う転職をして1年間継続就業した場合に受講費用の1/5相当(上限16万円)**が上乗せされ、合計最大56万円になります。
ここが最重要の注意点です。この制度は「現在の勤め先を辞めて転職する」ことを前提とした、在職者個人向けの支援です。経営者・個人事業主・フリーランスは対象外で、会社が社員を引き留めて育てる目的には向きません。むしろ社員に勧めると自社からの離職を後押ししかねないため、社員研修・社内定着が目的なら柱1・柱2・柱4を使い、柱3は『自社では扱わない制度』として区別してください。
柱4: 東京都DXリスキリング助成金(自治体制度)
- 運営: 公益財団法人東京しごと財団、令和8年度も継続
- 助成率3/4(75%)、上限1研修1人75,000円・1社年間100万円、研修開始1か月前までに申請
- 大阪府・愛知県・福岡県などにも類似のDX人材育成助成制度あり(要件は各自治体で要確認)

どの制度を選ぶか——30分で決まる判断チャート
社員にAIを覚えさせて社内で活躍してもらうのが目的なら、まず柱1・柱2・柱4から選びます(柱3は社員の転職支援なので会社研修の選択肢からは外します)。次の3つの質問に答えれば、最初に狙う制度が決まります。
- 質問1 目的は「学び」か「ツール導入」か: 社員にClaudeを覚えさせたい→柱1(中小75%)。ライセンスを配りたい→柱2。両方→併用(ただし同一費用の重複計上は不可)
- 質問2 訓練時間を確保できるか: 柱1は実訓練時間10時間以上。繁忙期で出せないなら人への投資促進コースの定額制eラーニングが現実的
- 質問3 IT導入支援事業者に頼れるか: 頼れる業者がいれば柱2、いなければ柱1が取り組みやすい。東京都内なら柱4(上限100万円)も並行検討

御社の業種・人数・繁忙期に合わせた組み合わせは、後述の無料相談で一緒に整理できます。
申請の全体フロー——計画届から支給まで
柱1(人材開発支援助成金)の流れを実務目線で整理します。柱2も流れは近いです。
- 計画届を作成・提出: 訓練開始1か月前までに管轄労働局へ。「事業展開との関連」を具体的に書くのが採択の肝。「営業部門の提案書作成を年間1,200時間削減し新規開拓に再投資」のように数字で。(人事・人材育成計画に基づく訓練の類型を使う場合は、提出前に認定経営革新等支援機関の確認も受ける)。始めた後では認められません
- 訓練を実施: 出席簿・訓練日誌・教材控え・受講記録・領収書の5点セットを毎回記録。記録漏れが最大の不支給理由
- 支給申請書を提出: 訓練終了から原則2か月以内。記録を全て束ねて提出。審査は数か月
- 支給決定後: 関係書類を数年保管。助成金は後払い(立替え)のため資金繰りを先に

よくある不採択理由と事前対策
- 訓練計画と事業計画の関連が弱い → 業務フロー図を1枚書き、導入前後の差を数字で示す
- カリキュラムが概論のみ → プロンプト設計演習・業務適用演習など実践内容に。正式カリキュラムを添付
- 経費の妥当性説明不足 → 見積書を最低2社から取り比較資料を作る
- 訓練記録の不備 → 初日に記録フォーマットを配り毎回チェックリストを回収
- 雇用保険の加入要件 → 対象社員の加入状況を提出前に人事・社労士で確認
- 提出期限の遅れ → 計画届1か月前・支給申請2か月以内。柱2は交付決定前発注NG、GビズID取得は約2週間・SECURITY ACTIONは約1週間かかる
- 同一訓練の重複助成 → 柱1柱2併用時は費用の切り分け表を作る
- 新類型の事前確認漏れ → 人事・人材育成計画に基づく訓練を使うなら認定経営革新等支援機関の確認を計画届前に取得
2026年度の主な変更点と「時限措置」の締切リスク
- 変更点1: IT導入補助金が「デジタル化・AI導入補助金2026」に改称、AIツール導入が正面から支援対象に。通常枠締切は2026年7月21日
- 変更点2: 事業展開等リスキリング支援コースは中小経費75%・賃金毎時1,000円と手厚い。2026年3月2日の改正で「人事・人材育成計画に基づく訓練」が対象に加わった一方、中小がこの類型を使う際は認定支援機関の事前確認が要件化
- 変更点3(最大のリスク): 事業展開等リスキリング支援コースは令和8年度末(2027年3月31日)までの時限措置で延長は2026年6月時点で未公表。経産省のキャリアアップ支援事業も令和8年度末まで継続予定。今年度がこの高い助成率で申請できる実質的に最後のチャンスになる可能性があります。申請から支給まで半年前後かかるため、2026年内に計画届を出すスケジュールが現実的です

社内の役割分担——社長・人事・現場の三分担
- 社長: 目的設定・予算承認・スケジュール確保・外部折衝。最初の30分の制度判断は必ず社長自身が
- 人事・IT教育担当: 計画届/支給申請の書類作成、訓練記録の管理、労働局・しごと財団の窓口
- 現場リーダー: 対象社員の選定、カリキュラムの業務適合性レビュー、訓練後のOJT
- 外部パートナー: 社労士(申請代行。成功報酬の相場は事務所により幅があるため、依頼前に必ず見積もりで確認)、税理士、IT導入支援事業者、研修会社、認定経営革新等支援機関
私たちClaude Worksでは、助成金の対象になりやすい形でClaudeの社員研修カリキュラムを設計する支援を行っています。研修が「概論で終わらず実践で固まっているか」は採択を左右するため、研修設計と助成金申請はセットで考えるのが得策です。詳しくは 研修・コンサルメニュー と 助成金活用支援 をご覧ください。
よくある質問10問
(本文に10問のFAQを掲載。主要な結論は下表のとおり)

今日・今週・今月の3ステップアクション
- 今日 30分: 学びかツール導入かを決める/対象社員の人数・所属/立替え可能額のレンジ
- 今週 2〜3時間: 管轄労働局の助成金窓口に電話/顧問社労士・税理士に一報/取引ITベンダーがIT導入支援事業者か確認/柱2狙いならGビズID(約2週間)とSECURITY ACTION(約1週間)の取得を開始(7/21締切から逆算)/東京都内なら東京しごと財団サイト確認
- 今月 10〜20時間: 研修カリキュラム選定(実践内容か確認、2〜3社相見積もり)/対象社員リストと雇用保険確認/計画届作成・提出(新類型なら認定支援機関の確認も)
時限措置の締切から逆算すると、動き出しは早いほど有利です。
まとめ
- AIリスキリング助成金は4制度。柱1人材開発支援助成金(中小75%・社員研修向き)、柱2デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金、7/21締切)、柱4東京都DXリスキリング助成金(3/4・上限100万円)。柱3経産省リスキリング支援事業は在職者個人の転職支援で、会社の社員育成には向かない別物
- 制度選びは3質問で30分。目的は学びかツールか/実訓練時間10時間以上を確保できるか/IT導入支援事業者に頼れるか
- 柱1の申請は計画届(開始1か月前)→訓練実施→支給申請(終了2か月以内)→書類保管。概論のみは対象外で実践内容が必須。新類型は認定支援機関の事前確認も
- 不採択の主因は事業関連不足・概論のみ・経費根拠不足・記録不備・雇用保険・期限遅れ・重複助成・新類型の事前確認漏れ
- 最大のリスクは時限措置。事業展開等リスキリング支援コースは令和8年度末(2027年3月31日)まで。今年度が実質ラストチャンスの可能性
助成金を正しく使えば、社員研修投資の最大75%を公的資金でまかなえる設計が可能です。ただし中心制度は令和8年度末で終わる時限措置。ぜひ2026年度のうちに1サイクル回してください。
🎁 特典 30分無料相談
「自社はどの制度を使うべきか判断が難しい」「計画届の事業関連の書き方が分からない」「Claudeを社員研修で使う設計を、助成金対象になる形で一緒に考えてほしい」という中小企業の経営者・役員・人事・IT教育担当の方へ、30分の無料オンライン相談をご案内しています。
相談可能なテーマ: 自社の業種・人数に合う助成金(柱1・柱2・柱4)の選び方/助成金対象になる実践カリキュラム設計/採択されやすい計画届の書き方/社労士・IT導入支援事業者・認定支援機関の紹介/訓練後の社内定着支援。
時限措置の締切が迫っています。御社の状況に合わせた具体的な進め方は、ぜひ無料相談でご相談ください。お申込みはこちら: /contact
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最終更新: 2026年6月15日 / 公開: 2026年4月19日



