マーケティング担当者のための Claude Cowork 活用術|企画書・SNS・レポートを1人で回す方法

冒頭

従業員12人の食品EC会社で、マーケティングを1人で担当している方がいる。SNSの投稿は週3回、メルマガは月2回、Google広告の運用、LP(商品紹介ページ)のコピーライティング、月次の施策レポート。さらに新商品が出れば、キャンペーンの企画から制作まで加わる。

「1人でやれる量ではないのに、1人でやっている」と話してくれた。外注する予算は限られている。かといって、手を抜けばすぐに数字に出る。

この方が Claude Cowork を使い始めたところ、SNS投稿の文面作成が1投稿20分から5分に、月次レポートの下書きが2時間から40分に短縮された。特に大きかったのは「アイデア出し」の時間だ。キャンペーンの切り口を5パターン出してもらい、そこから選ぶスタイルに変えたことで、企画の立ち上がりが格段に速くなった。

この記事では、マーケティング担当者が Claude Cowork で制作・分析・レポート作業を効率化する6つのレシピを紹介する。記事の最後に、マーケ向けプロンプト集を無料で用意している。


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なぜマーケティング業務と Claude Cowork は相性がいいのか

図: マーケ業務とAIの相性が良い3つの理由(画像生成待ち)

マーケティングの仕事がAIと相性がいい理由は3つある。

1つ目。テキストを大量に生成する仕事だ。SNSの投稿文、メルマガの本文、広告のキャッチコピー、LPの説明文。マーケティング担当者は、1週間に何千文字ものテキストを書いている。Claude Cowork はテキスト生成が最も得意な作業だ。

2つ目。データを読み解いて文章にする仕事が多い。Google Analytics のアクセスデータ、広告の運用データ、売上の推移。数字そのものは見ればわかるが、「だからどうなのか」を文章にまとめる作業に時間がかかる。Claude Cowork にデータを渡して「分析してレポートにして」と頼めば、骨格が数分で出来上がる。

3つ目。アイデアの量が成果に直結する。キャンペーンの切り口、メルマガの件名、SNSの投稿ネタ。1つのアイデアに固執するより、10個出して最も良いものを選ぶほうが結果が出やすい。Claude Cowork は「10パターン出して」という頼み方に向いている。

レシピ1:SNS投稿の文面を5分で量産する

週3回のSNS投稿。1投稿あたり20分かかっていると、週に60分。月に4時間。ネタ探しから文面作成、ハッシュタグの選定まで含めると、もっとかかる。

Claude Cowork にこう頼む。


以下の情報をもとに、Instagramの投稿文を5パターン作ってください。

商品: 国産はちみつ(500g、2,800円) ターゲット: 30-40代の健康意識が高い女性 訴求ポイント: 非加熱・無添加、長野県の養蜂家から直接仕入れ 季節: 春(4月) トーン: 親しみやすく、押し売り感がない

各パターンの構成:

  • 1行目: 目を止めるキャッチ(30文字以内)
  • 本文: 150文字以内
  • ハッシュタグ: 10個
  • 投稿に合う画像のイメージ(撮影の参考になるよう)

5パターンの切り口をそれぞれ変えてください:

  1. 朝の使い方提案
  2. 健康効果に触れる
  3. 生産者のストーリー
  4. 季節に絡めた提案
  5. お客様の声(仮想)

5パターンが一度に出てくるので、その中から今週使えるものを3つ選ぶ。選ばなかったパターンは来週以降に回せる。

所要時間の目安: 1投稿あたり従来20分 → Claude Cowork利用で5分

レシピ2:メルマガの下書きを30分で仕上げる

月2回のメルマガ配信。最も時間がかかるのは「件名」と「冒頭の導入文」だ。中身は伝えたい情報があるので書けるが、開いてもらうための件名と、読み続けてもらうための導入がなかなか決まらない。

Claude Cowork にこう頼む。


以下の内容で、メルマガの下書きを作ってください。

配信目的: 春の新商品の案内 + 期間限定セールの告知 読者層: 過去に1回以上購入したことがある既存顧客(30-50代女性が中心) 配信予定日: 2026年4月20日(日曜日の朝10時配信)

伝えたい内容:

  1. 春限定の桜はちみつ(500g 3,200円)が4月25日発売
  2. 発売記念で4月20日-27日まで全商品10%OFF
  3. 桜はちみつの特徴(桜の花から集めた希少なはちみつ、年間生産量100kg限定)
  4. おすすめの食べ方(ヨーグルト、トースト、紅茶)

構成:

  • 件名: 5パターン候補を出してください(開封率を意識して)
  • プリヘッダー: 30文字以内
  • 導入文: 季節の挨拶から自然に本題へ(100字以内)
  • 本文: 新商品紹介 → セール告知 → おすすめの食べ方
  • CTA: 商品ページへの誘導(1箇所に絞る)
  • 文量: 全体で600字以内

トーン: 押し売りではなく、おすすめを伝える友人のような感覚で。


図: メルマガ作成の従来 vs Claude Cowork(画像生成待ち)

所要時間の目安: 従来105分 → Claude Cowork利用で30分

レシピ3:キャンペーン企画書を素早く立ち上げる

「来月のセール、企画書を今週中に出して」と言われて、白紙から始めるのはつらい。特に切り口(どんな角度で訴求するか)を考える段階が最も時間がかかる。

Claude Cowork にこう頼む。


以下の条件で、キャンペーンの企画案を5パターン出してください。それぞれ切り口を変えてください。

商品: 国産はちみつシリーズ(6種類、500g 2,800円〜3,200円) キャンペーン期間: 2026年5月1日〜5月14日(母の日前後) 目的: 売上を前年同月比120%にする 予算: 広告費30万円 + 制作費10万円 販路: 自社ECサイト ターゲット: 母の日のギフトを探している30-40代

各パターンの構成:

  • キャンペーン名(キャッチーなもの)
  • コンセプト(1行)
  • 施策内容(具体的に3つ)
  • 予算配分案
  • KPI(目標数値)
  • リスクと対策

5パターンの中から方向性を選び、上司に提案する。1つに決まったら、そのパターンを深掘りする追加指示を出す。


パターン3を採用します。このパターンをもとに、以下を詳細に書いてください。

  • 施策ごとのスケジュール(日単位)
  • SNS投稿の具体的な文面案(5日分)
  • メルマガの配信スケジュールと件名案
  • LP(ランディングページ)の構成案
  • 広告のターゲティング設定案

このように2段階で使うと、最初は広く発散し、次に1つを深く掘り下げるという効率的な企画プロセスが実現する。

所要時間の目安: 企画書のたたき台で従来3時間 → Claude Cowork利用で1時間

レシピ4:月次マーケティングレポートを40分で作る

月末の施策レポート。アクセス数、CVR(購入率)、広告の費用対効果、SNSのエンゲージメント。数字を集めるのも大変だが、「だからどうなのか」「来月はどうするか」を書くのがもっと大変だ。

Claude Cowork にこう頼む。


以下の数字をもとに、月次マーケティングレポートの下書きを作ってください。社長と営業部長が読みます。

2026年3月の実績:

Webサイト:

  • セッション数: 28,500(前月比 +15%、前年同月比 +42%)
  • ページビュー: 85,000(前月比 +12%)
  • 直帰率: 52%(前月 55%)
  • 平均滞在時間: 2分45秒(前月 2分20秒)

EC売上:

  • 注文件数: 320件(前月比 +8%)
  • 売上: 896,000円(前月比 +11%)
  • 客単価: 2,800円(前月 2,730円)
  • CVR: 1.12%(前月 1.05%)

広告:

  • Google広告費: 150,000円 / クリック数: 3,200 / CPC: 47円 / 広告経由売上: 380,000円 / ROAS: 253%
  • Instagram広告費: 80,000円 / リーチ: 45,000 / クリック数: 1,800 / 広告経由売上: 185,000円 / ROAS: 231%

SNS:

  • Instagram フォロワー: 4,850(+180)/ 投稿12回 / 平均いいね: 85
  • X フォロワー: 1,200(+45)/ 投稿20回 / 平均いいね: 12

施策:

  • 3月10日〜20日: 春の新生活応援セール(全品8%OFF)→ 期間中の売上248,000円
  • 3月15日: Instagramライブ配信(視聴者120人、コメント35件)

レポートの構成:

  • サマリー(3行で結論)
  • 各チャネルの実績と分析(なぜその数字になったか)
  • 効果があった施策 / 改善が必要な施策
  • 来月の施策提案(3つ)
  • 来月のKPI目標値

数字を貼り付けるだけで、分析コメント付きのレポートが完成する。特に「なぜその数字になったか」の推論は、Claude Cowork が得意な部分だ。ただし、社内事情(「3月は営業部からの紹介が多かった」等)はAIには分からないので、そこは自分で書き加える。

所要時間の目安: 従来2時間 → Claude Cowork利用で40分

レシピ5:広告コピーのA/Bテスト案を量産する

Google広告やSNS広告では、複数の広告文を同時に出してどちらが効果的か比較する「A/Bテスト」がよく行われる。テスト用のバリエーションを考える作業は、慣れていても時間がかかる。

Claude Cowork にこう頼む。


Google検索広告のテキストを、A/Bテスト用に6パターン作ってください。

商品: 国産はちみつ 通販 ターゲットキーワード: 「はちみつ 通販」「国産はちみつ おすすめ」

規格:

  • 見出し1: 30文字以内
  • 見出し2: 30文字以内
  • 説明文: 90文字以内

訴求軸を2つに分け、各3パターンずつ作ってください:

  • 軸A: 品質・産地を訴求(非加熱、長野県産、養蜂家直送)
  • 軸B: お得感・限定感を訴求(初回割引、送料無料、数量限定)

CTR(クリック率)を意識して、具体的な数字や限定感のある表現を使ってください。


6パターンをそのまま広告管理画面に入力すれば、テスト開始だ。結果を見て効果が高かったパターンの方向性で、さらにバリエーションを作ることもできる。

所要時間の目安: 6パターンで従来60分 → Claude Cowork利用で15分

レシピ6:競合サイトの分析メモを作る

競合の動きを把握するのはマーケティングの基本だが、競合のWebサイトやSNSを定期的にチェックして分析する時間がなかなか取れない。

Claude Cowork にこう頼む。


以下は競合3社のWebサイトから書き写した情報です。当社と比較して、気づいた点を分析してください。

当社: はちみつの山田養蜂

  • 商品数: 6種類
  • 価格帯: 2,800〜3,200円
  • 強み: 非加熱・無添加、生産者の顔が見える
  • SNSフォロワー: Instagram 4,850 / X 1,200
  • Webサイトの特徴: 商品紹介中心、ブログは月2回更新

競合A: ○○養蜂場

  • 商品数: 15種類
  • 価格帯: 1,500〜4,000円
  • 強み: 品揃えが豊富、ギフトセットが充実
  • SNSフォロワー: Instagram 12,000
  • Webサイトの特徴: レシピコンテンツが豊富

競合B: △△はちみつ本舗

  • 商品数: 8種類
  • 価格帯: 2,000〜3,500円
  • 強み: 定期便サービス、ポイント制度
  • SNSフォロワー: Instagram 3,200
  • Webサイトの特徴: 定期便の訴求が強い

分析の観点:

  • 当社の強み・弱み
  • 競合がやっていて当社がやっていないこと
  • すぐに取り入れられそうな施策(低コストで実施可能なもの)
  • 当社が注力すべき差別化ポイント

図: 競合分析の活用フロー(画像生成待ち)

注意点がある。Claude Cowork は競合のWebサイトを直接見に行くことはできない。情報は自分で収集して、テキストとして貼り付ける必要がある。AIが得意なのは「集めた情報を構造的に分析して、示唆を出す」部分だ。情報収集は人間、分析はAI、判断は人間。この役割分担が効率的だ。

所要時間の目安: 分析メモの作成で従来90分 → Claude Cowork利用で30分

マーケティングで Claude Cowork を使うときの注意点

注意1:AIっぽい文章にならないようにする

Claude Cowork は質の高い文章を書くが、そのまま使うと「どこかで見たことがある」感じになりがちだ。特にSNS投稿やメルマガは、ブランドの個性が重要だ。AIの出力を「たたき台」として使い、あなたのブランドらしい言い回しや、実際のお客様のエピソードを加えてほしい。

対策として、プロンプトに「当社のトーン: こんな感じ」と過去の投稿を2〜3個貼り付けると、そのトーンに合わせた文章を書いてくれる。

注意2:数字の分析は「示唆」として使う

Claude Cowork が出す分析コメントは、あくまでデータから読み取れる推論だ。「CVRが上がった理由は、セール期間中だったためと考えられます」という出力は妥当だが、実際にはメルマガの件名を変えたことが効いていた、ということもある。AIの分析を鵜呑みにせず、自分の実感と照らし合わせることが大事だ。

注意3:著作権・商標に気をつける

Claude Cowork が生成した広告コピーやキャッチフレーズが、他社の商標やキャッチフレーズと似ている可能性はゼロではない。特に広告で使う文言は、念のため検索して類似表現がないか確認してほしい。

よくある不安と答え

「AIが書いた文章、読者にバレない?」

AIの出力をそのまま使えば、気づかれる可能性はある。しかし、たたき台としてAIに書かせ、自分の言葉で修正・加筆すれば、あなたのオリジナルの文章だ。料理に例えると、AIが材料を切ってくれて、味付けと盛り付けはあなたがやる。出来上がった料理は、あなたの料理だ。

「ブランドのトーンを維持できる?」

できる。Claude Cowork の Projects 機能を使えば、ブランドガイドライン(トーン、使う言葉、避ける言葉、過去の投稿例)を保存しておける。毎回の指示にブランド情報を含めなくても、一貫したトーンで文章を書いてくれる。

「SEO的に不利にならない?」

2026年4月時点で、GoogleはAI生成コンテンツ自体をペナルティの対象にしていない。Googleが重視しているのは「コンテンツの品質」だ。AI生成であっても、読者にとって有益で、正確で、オリジナルの視点が含まれていれば、検索順位に悪影響はない。逆に、AIで量産した薄い内容のコンテンツは、人間が書いたものと同様に評価が下がる。

「1人マーケ担当でも使いこなせる?」

むしろ1人マーケ担当にこそおすすめしたい。チームがいれば分業できるが、1人ですべてをこなす場合、AIは「もう1人のチームメンバー」になってくれる。企画のブレスト相手、コピーライター、データアナリスト。これらの役割を、1つのツールで補える。月3,000円で「半人分のアシスタント」を雇えると考えれば、費用対効果は極めて高い。

まとめ

マーケティングの仕事は「作る量」との戦いだ。SNS投稿、メルマガ、企画書、レポート、広告コピー。限られた時間で質と量を両立するために、Claude Cowork は強力な味方になる。AIにたたき台を作らせ、あなたのブランド知識と顧客理解で磨き上げる。この組み合わせで、1人のマーケ担当が2〜3人分のアウトプットを出せるようになる。まずは次のSNS投稿から試してみてほしい。

特典

この記事で紹介した6つのレシピのプロンプト(AIへの頼み方テンプレート)を、マーケティング業務別にまとめたPDFを用意した。SNS投稿・メルマガ・企画書・レポート・広告コピー、各場面でコピーして使える。

→ マーケティング向けプロンプト集PDFをダウンロードする(無料) /download/marketing-prompt-recipes

参考リファレンス

  • Anthropic公式: Claude Cowork の製品紹介ページ
  • Claude Lab 関連記事: 「Claude Cowork とは|非エンジニアが今日から仕事に使えるAIアシスタントの全体像」(/articles/503)
  • Claude Lab 関連記事: 「Claude と ChatGPT の違い|非エンジニアが仕事で選ぶための比較ガイド」(/articles/508)